[レポート]分析機能の組み込み – 製品利用で収益化コストを最適化 #Looker #BEACONJapan
この記事は、2021年6月22~23日開催の Looker BEACON 2021: Japan のオンラインセッション『分析機能の組み込み - 製品利用で収益化コストを最適化』に関するセッションレポートです。
セッション概要
登壇者:
・川窪 善人 氏 - グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 Looker 事業本部 カスタマーエンジニア
発表内容:
インハウスで分析基盤を構築する場合、技術チームの負担や、コスト増などが懸念されます。その一方で、製品を組み込み分析機能を実現する場合、収益の増加や、顧客満足度を維持しながら競合優位性を得られるため、昨今需要が高まっています。このセッションでは、技術面、経済面、エコシステムの3つの観点から、組み込みがどのように優れているか解説します。
前置き:車の部品を例に
- 国内メーカーの場合、約70%が外部調達
- 自社内の内製で注力すべき部品を厳選していった結果と想定される。つまり、すべて自社内で作ることが最適というわけではない
- 車載のオーディオ機器も購入者のニーズに沿うため、オプションが豊富
- データ分析機能に関しても、社内のユーザーの要望に合わせ、市場にある製品を組み込んで提供するべきではないか?
技術面の観点
- リスクの軽減
- 例えば自社開発で分析機能を実装考えた時、表面から見えてわかりやすいため、UI・UXを重要視するのは当たり前
- しかし実際には、システムの変更や機能拡張を行おうと考えた時に柔軟性のあるアーキテクチャでないと改善工数が多く取られたりなど、内側に潜むリスクが多くある
- 加えて、日々進化する各社の製品との組み合わせなどを考慮すると、柔軟性高く将来性の高いアーキテクチャでないといけない。これを自社チームで管理するのはとても大変なこと
- 一方で既存の製品を組み込む場合には、設定を少し変更するだけで柔軟性高く対応出来ることが多い。さらに、既存の製品はベンダーが日々アップデートを行うため、最新の機能をすぐに使用可能
経済面の観点
- 製品化までの時間
- もし自社で分析機能を開発する場合、要件整理、開発技術習得のための時間とコストがかかる
- 実際に構築する場合にも、インフラの構築コストや、QAテストなど、開発以外にも多くの時間を取られるリスクがある
- 無事製品化できたとしても、マーケットにフィットさせるための調整が必要
- もし既存の製品を組み込むならば、これらの工程をほぼカットすることが可能
- キャッシュフローがプラスになるまでにかかる時間
- 自社開発の場合、製品化までの工程を一通り追えて分析機能が完成しない限り、収益につながることはない
- この開発した機能が他社と比較しても優れている場合にはエンドユーザーが課金をするため、自社の収益につながると思う
- しかし、分析機能の開発に時間がかかったりすると、収益を得るタイミングが先延ばしとなり、機会損失につながる可能性もある
- 一般的な収益化フレームワーク
- サービスを提供する際は、ブロンズ、シルバー、ゴールド、など契約時のランクに応じて製品機能のレベルを分けることが多い。これにより、ユーザーは自社に合うレベルのサービスを選択することが可能
- 分析機能においても同様に、機能のレベル分けが可能。利用可能な機能が複雑なほど、提供価格を高くすることが出来る
- ブロンズ:固定されたダッシュボードの参照だけなど、限られた操作のみ
- ゴールド:ユーザー自身の手でダッシュボードを作成したり、スケジュール配信やデータのダウンロードなど、幅広い操作が可能
- 一方で、自社開発でこういった機能のランク分けを柔軟性高く実装することはとても難易度が高いことが想定される
- Gartnerの調査結果
- 45%の企業において、ビジネスインテリジェンスまたはデータ分析ソリューションへの投資を増やしている
- つまり、競合他社も力を入れている分野のため、時間のかかる自社開発だと機会損失につながる可能性が高い
エコシステムとコミュニティの観点
- コミュニティ
- 製品ベンダー主導のコミュニティがあれば、何か問題が発生しても、ベンダー社員やコミュニティメンバーから解決策を得られる可能性がある
- パートナーネットワーク
- 既存製品の場合にはシステムインテグレータなどパートナーがいることで、各パートナーの強みを活かした支援が可能
- 既存製品を組み合わせたパートナー独自のソリューションがあれば、ネットワークを介して導入可能なケースもある
- お客様の導入事例
- 何かイノベーションを起こそうとする際に、事例があるとインスピレーションを得られるかもしれない
分析機能を提供している企業の例
- 大企業の場合(FOX社)
- FOX社はアメリカの主要なメディア企業の一社
- 開発リソースも潤沢なため、あらゆるデータにアクセス可能な、機能がリッチな画面を開発している
- FOX社は、このようなデータプロダクトをLookerを用いて開発している
- 中小企業の場合(ParkMobile社)
- ParkMobile社は、前述のFOX社と比べるととても小さな企業。しかし、分析機能のカスタムアプリケーションを提供している
- カスタマーエンゲージメントのために構築したこのアプリケーションは、Lookerを用いて開発されている
まとめ
昨今様々なアプリケーションで、ユーザーが所持するデータを分析する機能が提供されているかと思います。(身近なものだと、家計簿アプリとか、運動記録アプリ等が該当すると思います。)
一方でこのような分析機能を自社開発しようとすると、本セッションで説明されているように、開発コストのために機会損失につながったり、せっかく開発しても他のソフトウェアとの連携などで日々アップデートを重ねていかないといけなかったり、自社開発によるコストはかなり高くなることが想定されます。
そこでLookerを用いると、OEMとしてLookerの機能をそのまま顧客に提供したり、開発しているWebアプリケーション上にLookerのダッシュボードを組み込んだりといったことが容易に可能です。
「顧客に分析機能をどうやって提供しよう…」とお悩みの方がいましたら、ぜひLookerを検討してみてはいかがでしょうか?